めまいがする[耳に関する症状]

4:めまいがする[耳に関する症状]

1:良性発作性頭位めまい症

めまい患者さんの3~4割がこの病気で耳の異常が原因で起こるめまいの中で最も多いと考えられています。起床時、起き上がるときに、頭を動かしたり、ある特定の位置に動かすと回転性めまいが起こります。めまいは次第に悪化し、すぐに軽快し消失します。持続時間は数秒から数十秒くらいです。めまいを繰り返すと、徐々に症状は軽くなり、消失します内耳(ないじ)の前庭(ぜんてい)という場所にある耳石(じせき)がはがれ、からだのバランスを保つ器官である三半規管(さんはんきかん)に入り込んでしまうとめまいが起こります。治療は頭位治療を基本とし、補助的に循環改善薬、抗めまい薬、抗不安薬などを投与します。

2:メニエール病

発作時のめまいは回転性で激しく、吐き気や嘔吐を伴います。同時に難聴や耳鳴りが起こる場合もあります。めまいは数時間から1日、またはそれ以上持続したのち、治まります。難聴はめまいがおこると悪化し、めまいが治まると正常に戻るか軽快します。ただし、メニエール病が進行すると次第に悪化し、徐々に聴力の改善が見られなくなり、重度の難聴になることもあります。これらの症状は繰り返し起こり、その頻度は週1回から年数回と様々です。本疾患は内耳(ないじ)を満たしている液体である「内リンパ」が増え過ぎることで内耳がむくみ(内リンパ水腫)、めまいが起こると考えられております。よってむくみ軽減を目的に、浸透圧利尿薬であるイソソルビド製剤を投与することがあります。即効性は期待できないため、数週間にわたる投与が必要です。これらの薬剤でめまい発作の制御が困難な場合や、低音域の聴力低下が著しい場合にはステロイド薬の投与を行う場合もあります。

3:前庭神経炎

突然、激しい回転性めまいが起こり、悪心、嘔吐を伴い、通常2~3日続きます。難聴や耳鳴りはありません。その後、少しずつめまいは改善していきますが、発症から1週間程は歩行が困難です。3週間程でめまいはほぼ治まりますが、動くときはふらつきが生じやすく、6カ月経過後も半数近くの人でふらつきがみられます。前庭神経炎はからだのバランスを保つ情報を脳へ伝える前庭(ぜんてい)神経に炎症が起こることで正しい情報が脳へ送られず、めまいが起こると考えられています。風邪をひいた後に発症することが多いため、ウイルス感染や血液の循環障害が原因と考えられています。抗めまい薬、鎮吐薬、抗不安薬などを症状にあわせて投与します。また、ステロイド薬の投与(7~8日間ほどで漸減終了)を行う場合もあります。めまい症状(強い眼振が認められる場合)や悪心・嘔吐が高度な場合には基本的に入院を勧めます。

4:外リンパ漏

急激な圧の変動(飛行機に乗ったときや水中に潜ったとき、鼻を強くかんだ後など)、交通事故や転倒などによる頭部外傷、あるいは耳掃除の時に鼓膜・中耳を直接傷つけてしまったときなどに、外リンパが漏れ出すことによって回転性めまいや難聴、耳鳴り(水の流れるような音)、耳がつまった感じなどが起こります。(これらの症状があらわれる直前にpop音(パチッという何かがはじけるような音)が聞こえる場合もあります。)外リンパ漏は、内耳の三半規管と蝸牛の周りの外リンパ液(髄液)が、上述の原因などをきっかけに内耳窓から中耳に漏れ出し、めまい・難聴・耳鳴りなどを起こす疾患です。治療には、保存的治療と手術治療があります。保存的治療とは、入院安静にて内耳窓に開いた穴が自然に閉鎖することを期待します。入院安静で効果がない場合は、外リンパ瘻閉鎖術を行います。リンパ液の漏れが停止すれば、めまいは急速に消失します。但し、聴力や耳鳴りは改善しない場合もあります。